投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される。
そんな仕組みの金融商品です。
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づいて、ファンドマネージャーというプロが行います。
投資信託とは、信じて託す投資と書く通りの金融商品ですが、投資する際に何を信じるかというと、
あなたが望む運用方針を遂行するプロであるファンドマネージャーの力を信じて、大切なお金を託すわけです。
今回のブログは、ファンドマネージャーというお金の専門家が手腕を発揮して成り立っている「投資信託」という金融商品を解説します。
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オーナーが監督に現場を任せるに似たり
WBC(ワールドベースボールクラシック)で日本が優勝し、日本のプロ野球もコロナによる入場制限がなくなって声出し応援もOKとなって、交流戦も例年以上に盛り上がりを見せました。
投資信託という金融商品を理解するには、あなたがプロ野球球団のオーナーになった立場、お金を出して口は出さないオーナーの立場になると考えればとても分かりやすいです。
お金を出してオーナーとなったあなたは、優勝争いをすれば観客動員も増えるわ、球団は儲かるわ、親会社の株は上がるわ、いいことずくめになりますから、勝ちたい、優勝したいと思いますよね。
当然、チームを強くするプロであり采配に長けた「監督」の人選をおこなってチームを任せることでしょう。
たとえばあなたがオーナーになった球団が阪神だとすれば、あなたは「アレ」がしたいから、岡田彰布監督を招聘したわけです。
この「監督」が、投資信託の場合「運用会社=運用のプロ」にあたります。
そして選手は、さまざまな投資商品にあたります。
つまり「株式選手」、「債券選手」、「不動産選手」「コモディティ選手」などに該当します。
長いシーズンを戦っていると、調子が上がらない選手も出てくれば、ケガをする選手も出てきます。
大山選手や佐藤選手にもスランプはあるし、湯浅投手や岩崎投手が打たれて負けることもあります。
あなたに選ばれた運用会社にいる辣腕のファンドマネージャーは、監督として使う選手を決め、ベストなメンバーを保って、シーズンをうまく戦っていきます。
そして「アレ」という最高の結果がもっとも分かりやすいですが、勝てば勝つほど
チームとして勝ち取る「運用益」を、オーナーであるあなたは受け取ることができるのです。
そうした優秀な監督を雇うために、それなりのお金つまり手数料を払うのだと考えれば、ほとんどプロ野球オーナーと同じ考え方で投資信託という仕組みを理解できます。
投資信託の手数料に差があるのはなぜか?
投資信託の手数料について理解しておきましょう。
投資信託の手数料は3つあります。
まず購入時手数料が、投資信託を買うときに発生します。
これは、いわば監督を決めて雇う際の契約金のようなものでしょうか。
投資信託は日本で買えるものだけで6,000種類ほどあります。
そして購入時手数料は、安いものはゼロ、高いものは4%の手数料がかかります。
この差はけっこう大きいです。
手数料の2つ目が、投資信託を売るとき、解約するときに発生する手数料です。
これは0.1〜0.5%ぐらいでどの商品もあまり変わりません。
そして3つ目が信託報酬です。0.1〜2.5%と、これはかなりの幅があります。
投資信託を運用していることに対してかかる手数料なのですが、監督に対して契約期間中に払い続けるお給料みたいなものと考えればよいでしょうか。
これは、投資信託を持っている間、つまりその監督に任せている間ずっとかかり続けるものなので、馬鹿にできませんし、当然安かろう悪かろうの商品もあるので、安ければそれで良いというものでもありません。
投資信託の運用成績は、もちろん託したプロの手腕にもよりますが、市場環境などによって変動します。
投資信託の購入後に、投資信託の運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って損をすることもあります。
つまり銀行の預金などとは違って、投資信託は元本が保証されている金融商品ではないことは知っておかねばならない重要な点です。
それでも投資信託には大きく4つのメリットがあります。
まず1つ目に、少ない金額から購入できるというメリットがあります。
通常、株式投資や債券投資には、ある程度まとまった資金が必要になります。
しかし投資信託であれば、1万円程度から手軽に始めることができます。
2つ目に、株式や債券などに分散投資できることも大きなメリットです。
投資の基本の1つに、資産をいくつかの商品に分けてリスクを分散させる「分散投資」があります。個人の投資家が自分だけで分散投資しようとすると多くの資金が必要となりますが、投資信託は小口のお金を集めてひとつの大きな資金として運用するので、さまざまな資産に分散投資することでリスクを軽減することが可能です。
3つ目のメリットは、専門家によって運用されるということです。
株式や債券などの投資に必要な知識や手法を個人で身につけるのはなかなか難しいものです。投資信託は、経済・金融などに関する知識を身につけた専門家が、投資家に代わって運用します。
ですので、専門家を通して個人では買えない・買いにくい海外の株式や債券、特殊な金融商品への投資も可能になるのです。
4つ目が、高い透明性です。
毎日、取引価格である基準価額が公表されていて、資産価値や値動きが分かりやすい金融商品なのです。
決算ごとに監査法人などによる監査を受けている点も、透明性を高めています。
投資信託における複利効果を考える
投資信託は、長期で保有することによって、複利の効果で元本自体が増加します。
価格が変動しても投資元本自体が増えていくため、当初投資した元本を下回る可能性が減ってリターンも大きくなります。
このことについては、長期投資でリスクが小さくなると言われることもありますが、正確にはリスクが小さくなるのではなく、複利効果により投資元本自体が増えていくため値動きは大きくなっても当初の元本を下回りにくいということによります。
複利効果を活かせるものとして挙げられる代表格は、投資信託や預金です。
ただし、預金はあまりに低金利だとその効果が活かしきれないですし、投資信託には分配金が再投資されずに受け取れるもの、つまり複利運用にならない商品があります。
インデックスファンドとアクティブファンド
投資信託はアクティブファンドとインデックスファンドの2種類に分類することができます。
投資信託を選ぶ際は、この2つの違いを知っておくことが大切です。
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIX、S&P500やNYダウといった代表的かつ特定の「市場指数」に連動するように設計された投資信託です。
一方、こうした指数を上回る、または指数に捉われずにリターンの獲得を目指す投資信託が、アクティブファンドと呼ばれる投資信託です。
具体的に投資家が投資信託を選択する際には、このインデックスファンドとアクティブファンドの運用方針の違いを理解しておくことが大切です。
どちらの方が優れているというわけではありません。
インデックスファンドにはいろいろな銘柄が入っていて、いわゆる分散効果が生まれる分、振れ幅が小さい投資と言えます。
特定の市場指数(例えば、日経平均や米国S&P500等)に連動する投資信託ですので、その指数に含まれるすべての銘柄を所有することで市場全体のリターンに沿った投資をすることができます。
言い換えればその指数に含まれる銘柄を完全に再現するために設計されており、その銘柄たちは現在のトップ銘柄、それらを買いに行くのがインデックス運用です。
リスクも少なく、言ってしまえば指数を真似するだけなのでシステムを組んでしまえば機械的に運用できます。
運用費用も低くできるのはそのためです。
一方、アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄の選択や購入・売却タイミングを判断することで、市場平均を上回るリターンを目指す投資信託です。
ファンドマネージャーは、市場の変化を判断し、より高いリターンを追求するために、銘柄の入れ替えを行うことがあります。
30年前はまったく無名だったAmazonが今はとんでもない高値をつけていますが、より高いリターンのためには、30年先の第二のAmazonを探し出すだけのいわゆる「目利きの力」が必要となります。
そのため、思い切ってニッチを攻める傾向があり、金融的観点でいう振れ幅の比較的大きい投資になります。
人手や高い専門性を必要とするため、運用費用も比較的高くなります。
プロ野球に例えるならば、チームを強くできる選手人材を見抜く力です。
外国人選手を見抜く米国駐在スカウト、国内で若い人材の将来性を見抜くスカウトの眼力が大きくものを言うわけですが、そうした先見の明ともいうべきスカウト力に特に秀でたプロフェッショナルが、アクティブファンドのファンドマネージャーということになるでしょうか。
ここまで、プロ野球のオーナーになるという例えを交えながら、投資信託およびインデックスファンドとアクティブファンドについて解説してきました。
一言で言うと、インデックスファンドは低い運用費用と市場全体のリターンに追随する性質から初心者向けとされ、アクティブファンドは、優れたファンドマネージャーがいる場合や、市場全体よりも優れたリターンを期待したい場合に向いているとされます。
最後に、インデックスファンドとアクティブファンドのメリット、デメリットについてしっかりまとめておきましょう。
インデックスファンドのメリットとデメリット
【メリット】
1 運用のアクティブな管理を必要としないため、運用費用が比較的低く抑えられています。
2 特定の市場指数に連動しているため、その市場全体のリターンに追随する性質があります。
このため、市場全体の動向を追うことができます。
3 指数に含まれる複数の銘柄を所有するため、分散投資を容易におこなうことができます。
これにより、投資先のリスクを低減することができます。
4 投資対象の銘柄が指数に含まれているため、その銘柄の内容を把握しやすく、透明性が高いとされています。
【デメリット】
1 市場全体のリターンに追随するため、アクティブファンドの優れたファンドマネージャーよりもリターンが低い可能性があります。
2 銘柄選択ができないため、市場全体が大きく下がるようなショックの場面でも機動的な銘柄の入れ替えは行われないため、傷が大きくなることもあります。
アクティブファンドのメリットとデメリット
【メリット】
1 投資家は、ファンドマネージャーの専門知識を大いに活用できます。
とびきり優秀なファンドマネージャーは、市場や投資先のトレンドや動向を独自に分析し、魅力的な投資機会を見出す可能性もあります。
2 ファンドマネージャーが市場のトレンドを分析し、投資先を選択するため、相場の下落に強いと言われています。
ファンドマネージャーが株式や債券などの自在な調整をおこなうことで、リスクを最小限に抑えながら収益を追求することができます。
3 アクティブファンドは、比較的大きなリターンを狙いたいが自分自身では市場や投資先を分析するための時間や知識が限られているという場合に適しています。投資家は、ファンドマネージャーに投資を任せることで、自身の時間や労力を節約できます。
【デメリット】
1 アクティブファンドは、ファンドマネージャーの専門知識を活用するため、運用報酬が高いというデメリットがあります。
過度に高い運用報酬は、投資家が得られるリターンに対してマイナスの影響を与えることがあります。
2 ファンドマネージャーの選択の成否によっては、パフォーマンスが基準指数を下回る可能性があります。
運用成績が基準指数を下回った場合、投資家は市場平均に対して損失を被るという結果になります。
つまりはファンドマネージャーの手腕に影響を受けやすく、ファンドマネージャーに得意不得意部門がどの程度存在するのかによっても運用成績に差が生じると思われます。
いかがでしたでしょうか?
投資信託とは、まさに「信じて託す」投資です。
投資する際に何を信じるかというと、あなたが望む運用方針を遂行するプロであるファンドマネージャーの力を信じて、あなたの大切なお金を託すわけです。
ファンドマネージャーたちは、きわめて高度で専門的な知識を身につけ、ある程度実績を持ったプロばかりですが、それでもみんなが「勝てる」わけではありません。
優勝する球団があれば最下位に沈む球団もあるプロ野球の戦いのように、彼らの「勝負の世界」もまた、とても厳しいものです。