人は「損失と利得」を対象的に評価しない性質を持っている?

人は「損失と利得」を対象的に評価しない性質を持っている?

前回は、投資を成功させるための必要条件は
金融リテラシーの向上だと申し上げましたが、

もう1つ
投資を成功させるための大切な条件があります。
それが「感情のコントロール」です。


私たち人間は
「わかってはいるけど、ついやってしまう」

という行動をとってしまうことがあります。


宝くじが当たる確率は、
絶望的に低いのにもかかわらず
宝くじを買ってしまった経験…

あるのではないでしょうか。


人は制御しなければ、
基本的には本能に従って行動する動物です。

投資の場合は
「買いたいときに買い、売りたいときに売る。」
ということをくり返すわけです。


問題なのは、相場が下がると
人は弱気になって売ってしまうことです。

せっかく長期投資をしているのに、
株価が下がったことを知ると
損失を恐れてすぐに売ってしまう

といった行動がよく見られます。

本能にまかせていると、
こうした非合理な行動をして
失敗してしまうのです。


残念ながら人間とは、
そういう非合理的な行動をとってしまう生き物なのです。

そして投資は、
そうした非合理的な行動をとってしまう最たるものの1つです。

なぜなら、
個人の大切な意思決定にかかわる問題に限って、
人は自分自身の心理面がより影響してしまうからです。


投資において、
感情のコントロールをするために
ぜひ知っておきたい知識に

「プロスペクト理論」

というものがあります。


「ある事象が生じる確率や
得られる損得がわかっている場合に
人間がどのような意思決定を行うかを理論化したもの」

で、行動心理学や経済学では
非常に重要な理論と位置づけられています。

プロスペクト理論『ウィキペディア日本語版』 (2022-11-11T05:27Zの版)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5:%E5%9B%BA%E5%AE%9A%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF/92374991


具体的には

「株取引やギャンブルなどの
不確実な状況下で意思決定を行う際には、
認識のゆがみによって
数値的な事実をそのまま受け取れない」

ことなどが説明されています。


最も大切なのは、

「人の意思決定は
目の前にある損失の度合いによって変化する」

という考え方です。


わかりやすく言えば、人は

「利得を得て幸せなとき」よりも
「同等の損失による痛み」のほうをより大きく感じる


というのです。

「人は1,000円の損失と3,000円の利益が同程度に感じる」
といったデータもあるようです。

投資で損失が出ている場合
挽回しようとして、

よりリスクの高い金融商品を選択し
一発逆転のリターンを狙うといった行動を
とってしまいやすいのですが、

これも

「利得を得て幸せなとき」よりも
「同等の損失による痛み」のほうをより大きく感じる

という人間の心理によってとってしまう
非合理的な行動なのです。



この様な時に心のなかで働いているのが
「損失回避バイアス」です。


※バイアスとは、心の歪みのことです。
人は、得したときの喜びより
損したときに悲しみにより過剰に反応してしまい、

その結果
「損をしたくない」という感情によって
意思決定がゆがめられてしまうのです。


要するに

人は損している時ほど
大きなリスクに手をだしてしまいがち
なのです。


それではどうしようもないではないかと
開き直ってしまえば、そこで終わりです。


なんとか老後の資金づくりに成功したいのなら、
その成功を妨げてしまう
それらの行動をとらないように、

・あらかじめ感情のコントロールが乱れ、
非合理的な行動をとってしまいがちな
パターンを知っておくこと


そして

・そうした危険が
自分にもあると自覚しておくこと


に大きな意味があるのです。